気管挿管における血行動態と口腔咽頭合併症の比較分析:全身麻酔下における従来型、ビデオおよび硬性ビデオ喉頭鏡の評価

Rigid Video Laryngoscope.png・本研究は、全身麻酔下で通常の直視型喉頭鏡、ビデオ喉頭鏡、硬性ビデオ喉頭鏡を用いて気管挿管を行った患者の血行動態の変化と口腔咽頭合併症の発生を比較することを目的とした。

・全身麻酔下で待機的に気管挿管を受けた患者を研究対象として前向きに登録した。拡張期血圧(DBP)、収縮期血圧(SBP)、平均動脈圧(MAP)、心拍数(HR)などの血行動態指標と、歯牙損傷、口腔粘膜損傷、嗄声、咽頭痛、嚥下障害などの口腔咽頭合併症の発生率を 3 群(A 群:通常の直視型喉頭鏡、B 群:ビデオ喉頭鏡、C 群:硬性ビデオ喉頭鏡)の患者で観察した。観察は麻酔導入後(T1)、気管挿管直後(T2)、挿管5分後(T3)に行った。

A 群の T1 における HR は、B 群および C 群よりも有意に高かった(P<0.05)。しかし、気管挿管回数の差は 3 群間で統計学的に有意であった(P<0.05);C 群は気管挿管の初回成功率が最も高かった(95%)のに対し、A 群は失敗率が最も高かった(5%)。口腔粘膜損傷および咽頭痛の発生率にも群間で有意差が認められ(P<0.05)、A 群で最も高く、C 群で最も低かった。

通常の喉頭鏡と比較して、ビデオ喉頭鏡または硬性ビデオ喉頭鏡を用いた気管挿管は、血行動態への影響がより軽度であり、挿管に関連する合併症がより少ない。硬性ビデオ喉頭鏡はより安全で効果的である可能性がある。

硬性ビデオ喉頭鏡はもっとも口腔内に挿入するモノ(物体としてスタイレット状の内視鏡とその周囲のチューブ)が最も小さいので、侵襲性が最も低くなるのだろう。


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