肥満患者における動脈カテーテル留置のための超音波ガイドの臨床的有用性:無作為化比較試験

橈骨動脈の触診.png・研究の目的は、肥満患者において、超音波ガイドを用いた橈骨動脈カテーテル留置の成功率と合併症発生率を、従来の触診法と比較すること、および標準化解剖学的ランドマークを用いて、超音波を用いて橈骨動脈、上腕動脈、足背動脈の皮膚-動脈間距離を測定することであった。

・前向き無作為化比較試験、単一の 3 次センターで、肥満指数(BMI)30kg/m2以上の成人 80 人を対象に、超音波ガイドまたは従来の触診触診法を実施した。主要評価項目は動脈カテーテル留置の初回成功率であった。

橈骨動脈の皮膚-動脈間距離は、BMI 40〜49kg/m2 群および 50kg/m2以上で、BMI 30〜39kg/m2 群に比べて有意に大きかった(平均差、BMI 40〜49kg/m2 vs 30〜39kg/m2では 1.0mm;95% 信頼区間[CI]、0.4〜1.7;p = 0.0029)、50kg/m2 vs 30〜39kg/m2では 1.5mm(95%CI、0.6〜2.4mm;p=0.0015)。同様の所見は上腕動脈でも観察された。BMI は初回カテーテル挿入成功率と逆相関し(p=0.0145)、カテーテル挿入成功までの時間と正の相関を示した(p=0.0271)。カテーテル留置の初回成功率および血管合併症率は、超音波ガイド群(それぞれ 65.0% および 52.5%)と従来の触診群(それぞれ 70.0%[p=0.6331]および 57.5%[p=0.6531])の間で有意差はなかった。

・本研究の結果は、肥満成人に対する橈骨動脈カテーテル留置術において、若手医師が手技を行う際に超音波検査をルーチンに使用することを支持するものではない。

視覚に頼れば、触覚が鈍感になるだろう。いつもエコーを使ってると、触覚を鍛える機会を失うことになるかもしれない。

この記事へのコメント