全身麻酔下で帝王切開により出生した新生児における麻酔薬濃度と低アプガースコアとの相関性

apgar スコア.png・本研究の目的は、全身麻酔下で帝王切開により出生した新生児において、帝王切開時に投与した麻酔薬の血漿中濃度と低アプガースコアを比較し、関連する危険因子を解析することである。

全身麻酔下で帝王切開を受けた新生児 76 例のデータを、麻酔薬の血中濃度とともに解析した。低アプガースコアは≦7 と定義した。周術期の母体および新生児のデータを収集し、分析した。新生児はアプガースコアに基づき、対照群(CON 群、n=65)と低アプガースコア群(LAS 群、n=11)に分けられた。

母体動脈、臍静脈、臍動脈血の麻酔薬血漿中濃度に両群間で有意差はなかった。全身麻酔下の帝王切開における新生児低アプガースコアの危険因子は、早産(aOR 10.2、95%CI=1.8-56.9)および術前胎児仮死(aOR 9.6、95%CI=1.3-69.0)であった。予測モデルは、確率=1/(e-Y)、Y=-4.607+2.318×(早産)+2.261×(胎児仮死)(はい=1、いいえ=0)であった。Hosmer-Lemeshow 検定は、χ2= 9.587、P=0.213を示し、曲線下面積(AUC)は 0.850(0.670 〜 1.000)であった。カットオフ値を 0.695 とすると、感度は 81.8%、特異度は 87.7%であった。

全身麻酔薬の血中濃度とアプガースコアや新生児低アプガースコアの発生との間に相関はなかった。早産と術前の胎児仮死は、全身麻酔下の帝王切開術後の新生児低アプガースコアの独立危険因子として同定された。

従来、全身麻酔下での帝王切開は、全身麻酔薬の胎盤経由の移行により新生児の低アプガースコアのリスクを高めると考えられてきたが、そうとは言えない可能性がある。

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