全身麻酔から回復した麻酔回復室患者におけるせん妄発生および看護の質向上に対するバイスペクトル指数モニタリング効果:無作為化比較試験

脳は処理モニター.png・景 術中の麻酔深度モニタリングが、麻酔回復室(PACU)におけるせん妄の発生および看護の質の改善に及ぼす影響については、依然として不明である。著者らは、全身麻酔から回復した患者の術中麻酔深度(BIS)モニタリングが PACU におけるせん妄の発生および看護の質の向上に及ぼす影響を検討することを目的とした。

・本無作為化比較試験には、ASA-PS I〜III に分類された年齢 20〜80 歳の患者 120 名が対象となった。BIS ガイド群(B 群)では、術中に BIS 麻酔深度のモニタリングを行った(BIS 値=40〜60 に維持)。非 BIS ガイド群(C 群)では麻酔深度のモニタリングは行わなかった。患者のバイタルサインは、手術開始時(T0)、PACU 入室時(T1)、抜管 15 分後(T2)、PACU 退室後(T3)に記録した。せん妄スコア、覚醒期間(抜管および PACU 観察時間)、PACU での有害事象をモニターした。看護活動スコア(NAS)を用いてケアの質を評価した。

B 群は C 群に比べ、T1 と T2 における心拍数と平均動脈圧が有意に低く、抜管までの時間と PACU 観察時間が短く、有害事象の発生率が有意に低かった。B 群は C 群に比べ、Ricker 鎮静-興奮スコアが有意に低く、せん妄の発生率も低かった。NAS は C 群より B 群で有意に低かった。C 群の年齢 60〜80 歳の患者では興奮がみられ、看護師 1〜2 人による介助を必要とする頻度が B 群より 30 %高かった。

術中 BIS モニタリングは、PACU における有害事象の発生を減少させ、高齢患者の回復期におけるせん妄の発生を減少させ、看護負担を軽減し、看護の質を向上させ、患者のリハビリテーションを促進することができ、臨床応用に値する。

BIS モニタリングにより、麻酔薬とくに鎮静剤の過量投与を回避することができるためだろう。

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