非心臓手術後の持続的オピオイド使用と慢性疼痛に対する周術期区域麻酔：無作為化比較試験の系統的レビューとメタ分析

・区域麻酔が術後の慢性疼痛の発現に影響を及ぼすかどうかは現在のところ議論の余地があり、長期にわたるオピオイド使用への影響を評価した研究はほとんどない。著者らは、非心臓待機的手術を受けた成人に対する区域麻酔がこれらの転帰に及ぼす影響を系統的にレビューすることを目的とした。

・MEDLINE、EMBASE、CENTRAL、および CINHAL において、待機的非心臓手術を受ける成人患者を対象とした無作為化比較試験（創始から 2022 年 4 月）で、いずれかの区域麻酔手技が評価され、主要評価項目である（1）術後のオピオイド使用の延長（術後 2 ヵ月以上のオピオイド使用の継続）および （2）術後慢性疼痛（術後 3 ヵ月以上の疼痛）のいずれかを含むものを系統的に検索した。特定アウトカムについてランダム効果メタ分析を行い、GRADE アプローチを用いてエビデンスの質を評価した。

・37 件の研究がレビューに含まれた。プール推定値によると、区域麻酔は遷延性オピオイド使用の減少に有意な効果を示した（相対リスク[RR] 0.48、95%CI、0.24-0.96、P=0.04、I² 0%、5試験、n=348 患者、GRADE 低品質）。慢性疼痛に関するプール推定値でも、術後 3 ヵ月（RR 0.74、95%CI、0.59-0.93、P=0.01、I² 77%、15 試験、n=1489 患者、GRADE 中等度）および 6 ヵ月（RR 0.72、95%CI、0.61-0.85、P＜0.001、I² 54%、19 試験、n=3457 患者、GRADE 中等度）において区域麻酔に有利な有意な効果が示された。術後 12 ヵ月の統合分析では効果は認められなかった（RR 0.44、95%CI、0.16-1.17、P=0.10）。

・本研究の結果は、区域麻酔が術後 6 ヵ月までの術後慢性疼痛を軽減する可能性を示唆している。また、持続的なオピオイドの使用が減少する可能性も示唆された。

ひこ

手術によって過大な侵襲が加わると、神経系を変容させて疼痛が記憶されてしまうのではないだろうか。過大な侵襲が加わる術中には、区域麻酔によって神経系の変容を回避することができるのだろう。

【出典】
Perioperative Regional Anesthesia on Persistent Opioid Use and Chronic Pain after Noncardiac Surgery: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
Anesth Analg. 2024 Sep 4.

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