小児外傷センターにおける骨折整復におけるフェンタニル経鼻投与とモルヒネの比較

小児の骨折.png・救急部(ED)での整形外科手術における疼痛管理は、手術室で行われる骨折整復を減らすために極めて重要である。本研究では、小児外傷センターにおける骨折整復時の疼痛管理について、フェンタニル経鼻投与(INF)とモルヒネ経口投与を比較した。

・外傷センターの小児 ED において、レントゲン写真で転位閉鎖骨折が確認され、ED 内で整復とギプス固定が行われた小児を対象に、INF の導入前後試験を行った。治療時間、十分な鎮痛効果が得られるまでの時間、痛みに対する有効性、忍容性を 3 つのフェーズに分けて両鎮痛剤間で比較した。

77 名の小児が対象となった: 内服モルヒネが 31 例、INF が 46 例であった。処置時間は INF 群の方が短く(150[111 〜 193]分 vs 215[155 〜 240]、P=0.01)、十分な鎮痛が得られるまでの時間(10[9 〜 13]分 vs 80[53 〜 119]、P<0.001)も INF 群の方が長く(3[0 〜 4]vs 6[3 〜o 7]、P<0.001)、必要量も少なかった(P=0.002)。到着時の疼痛スコアは両群で同程度であったが(P=0.15)、INF 群では手技前と手技中の疼痛が有意に低く、手技後は同等であった(両群でそれぞれ、2[0 〜 4]対 3[0 〜 5]、P= 0.02, 3[1 〜 5]対 7[3 〜 9],P<0.001, 1[0 〜 2]、P=0.87)。INF 群では手技中の疼痛レべルを低く保つことで、牽引による下肢骨折の整復を行うことができた(P=0.04)。重篤な有害事象は報告されなかった。

INF は十分な鎮痛効果を得るまでの時間と治療時間を短縮し、骨折整復中の有効性を維持することで、下肢骨折の整復を可能にした。したがって、この迅速かつ効率的な鎮痛により、全身麻酔下の手術室での整復が必要であった小児 ED での整形外科治療が容易になる。

ライン確保されていれば、フェンタニルやケタラールの靜注でも可能だろうが、ライン確保できていない場合には、フェンタニル(2μg/kg)の経鼻投与が迅速簡便でよさそうだな。

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