腹腔鏡下腹部手術における気管チューブカフ圧上昇発生率の比較分析:生食と空気注入の比較

圧力計.png・気管挿管は麻酔診療において頻繁に行われる手技であり、カフを正しく膨張させることは気道シールを維持するために不可欠である。気管チューブ(ETT)カフの過膨張は、術後の咽頭痛などの合併症につながる可能性がある。本研究では、待機的腹腔鏡下腹部手術において、生食と空気による ETT カフ圧上昇の発生率を比較することを目的とした。

・本研究では、腹腔鏡下腹部手術を受けた年齢 18〜65 歳のASA-PS 1〜2 の 60 人を対象とした。患者を無作為に 2 群に割り付けた: A 群(空気入り ETT カフ、N.=30)と S 群(生食入り ETT カフ、N.=30)である。カフ圧は CO<inf>2</inf>送気の前後と患者の体位変換時に記録した。カフ圧を 18mmHg に回復させるための介入回数が記録された。最高気道内圧、プラトー圧、および呼気終末陽圧(PEEP)を 15 分間隔で測定した。

カフ圧を維持するために必要な介入回数は、空気群と比較して生食群で有意に少なかった。全例がカフ圧 20mmHg 以上で開始した。気腹後、最初の 1 分間のカフ圧は空気群で高かった(P=0.001)。両群ともトレンデレンブルグ位でカフ圧が有意に上昇し(生食群、空気群、それぞれ P=0.001、0.012)、逆トレンデレンブルグ位に移行した後は、空気群の方が生食群よりカフ圧が高かった(P=0.002)。最高気道内圧、プラトー圧、PEEP には群間で有意差はなかった。

腹腔鏡下腹部手術中に ETT カフを空気の代わりに生食で膨張させると、圧維持のための介入の必要性が減少した。このことは、生食を膨張させることで、カフ圧が高くなるリスクおよび関連する合併症のリスクが有意に低下する可能性があることを示している。

空気の方が体温で加温されて気体が膨張して内圧が上昇するのか?

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