腹腔鏡下子宮全摘術におけるリドカイン全身注入が視神経鞘径に及ぼす影響:無作為化比較試験

視神経鞘径.png・腹腔鏡下子宮全摘術(LH)では、気腹(PP)による腹腔内圧および胸腔内圧の上昇により頭蓋内圧(ICP)が上昇する。トレンデレンブルグ体位(TP)は、それを強調する要因である。本試験では、リドカインの静脈内注入が、PP および TP 中の ICP の代用指標として広く受け入れられている視神経鞘径(ONSD)に及ぼす影響を評価することを目的とした。

リドカイン群と生食群に均等に分け、LH 施行予定患者 66 例を対象に無作為化プラセボ対照試験を実施した。主要転帰である ONSD は、導入前(T1)、仰臥位での PP 開始前(T2)、PP と TP の 5 分後(T3)、30 分後(T4)、60 分後(T5)、仰臥位での PP 終了 5 分後(T6)に記録した。副次評価項目として、麻酔回復室(PACU)到着時、術後6、12、24 時間後のNRS(Numerical Rating Scale)スコア、術後副作用を評価した。

T4 および T5 における ONSD は、生食群よりもリドカイン群で有意に低かった(T4:4.94±0.43mm vs. 5.27±0.37mm、P=0.003、T5:5.08±0.46 vs. 5.41±0.38mm、P=0.004)。PACU 到着時のみ、リドカイン群は生食群より NRS 値が有意に低かった(中央値[Q1-Q3]:5[4-6] vs. 6[5-6.25];P=0.016)。術後頭痛をきたした患者はリドカイン群の方が少なかった(P=0.029)。

LH 中のリドカイン静注は、ONSD の増加を減弱させ、PACU 到着時の疼痛スコアを低下させ、術後頭痛の発生率を減少させる可能性がある。

近年、リドカインの持続的全身注入の効果を調査するスタディが多いな。

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