■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/09/20
【問題1】(体液・電解質) pH0.1の変化でカリウムはどれくらい変動するか? | 1) 1.5mEq 3) 0.8mEq 5) 0.5mEq | 2) 0.2mEq 4) 1.2mEq |
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[解説] 血清K値を評価する時には、同時にpHの値を見なければならない。細胞外液中の[H+]が上昇するとH+が細胞内に流入し、代りに細胞内からK+が流出してくる。反対に細胞外液中の[H+]が低下すると細胞内からH+が流出し、代りにK+が細胞内に流入するからである。(1)pHによるK値の変動は、pH<7.4(アシドーシス)の方が、pH>7.4(アルカローシス)の時よりも大きい。(2)代謝性によるpHの変化時の方が、呼吸性の変化時よりも大きくなる。という事実があるが、だいたいpH0.1につき血清K値は0.5変動すると覚えておき、補正を行ないながらK値をチェックして行けばよい。
[正解] 5 [出典] クリティカル記憶術1P193
【問題2】(心臓・血管) wide QRS頻拍の鑑別で、RR間隔が全く不規則なのはどれか? | 1) 心室頻拍 3) 逆行性房室回帰性頻拍 5) 脚ブロックを伴った上室性頻拍 | 2) 偽性心室頻拍 4) 変行伝導を伴った上室性頻拍 |
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[解説] wide QRS頻拍の鑑別:(1)心室頻拍:房室解離、融合収縮を認めるのが特徴。(2)偽性心室頻拍:Δ波があり、RR間隔が不規則であるのが特徴。(3)逆行性房室回帰性頻拍:Δ波がある。(4)変行伝導を伴った上室性頻拍:多くは右脚ブロックである。(5)脚ブロックに加わった上室性頻拍
[正解] 2 [出典] 救急医療実践ハンドブックP72
【問題3】(代謝・内分泌) 急激な血糖上昇に対して反応性にインスリン分泌が増加するために低血糖をきたすものはどれか? | 1) 副腎機能低下症 3) ダンピング症候群 5) 下垂体前葉機能低下症 | 2) 甲状腺機能低下症 4) 肝硬変 |
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[解説] 低血糖の原因で最も多いのは、医原性(インスリン、経口血糖降下薬)である。原因を大別すると(1)インスリンの増加するもの:医原性(インンスリン、血糖降下剤)、反応性低血糖(ダンピング症候群、甲状腺機能亢進)、インスリノーマ、インスリン自己免疫症候群 (2)インスリン拮抗ホルモンの不足=ACTH、コルチゾール、TSH、T3/T4:下垂体前葉機能低下、副腎皮質機能低下、甲状腺機能低下 (3)糖新生の障害:肝硬変、糖原病( I ・ III ・ IV ・ VIII )、ケトン性昏睡 (4)糖消費の亢進:アルコール中毒
[正解] 3 [出典] クリティカル記憶術2P69
■ これって常識? ■ 頭痛,発熱,異常行動,痙攣発作をみたら,ヘルペス脳炎を考えよ! |
1)ウイルス性脳炎のなかでも,単純ヘルペス脳炎は無治療では60〜70%が死にいたる恐ろしい感染症であるが,アシクロビルという有効な治療薬が存在するので,初動治療の遅れが許されない疾患である.最近はPCR法が普及して,髄液から容易に単純ヘルペスウイルスのDNAが検出できるようになったが,結果を待たずに治療を開始すべきである.
2)MRIで,早期から側頭葉に浮腫などの異常が認められることが多い.しかし,これを認めないことが本症除外の理由にはならない.
3)脳炎は当然のことながら髄膜炎よりも重篤な疾患といえるが,髄液細胞数は3桁程度にとどまることもある.これをもって軽症などと思わないことである.
[出典] 知っているつもりの内科レジデントの常識非常識 第3章 378の常識〜神経編
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