ステロイドの静脈内投与が手術後の主観的回復の質に及ぼす影響:無作為化臨床試験のメタ分析

ステロイド.png・術後の回復の質は周術期医療において極めて重要な側面である。このメタ分析は、有効な QoR 尺度によって測定される、術後の回復の質(QoR)の改善におけるステロイド静注の有効性を評価することを目的とした。

全身麻酔の補助としてのステロイドの単回静脈内投与を使用した手術を受ける成人患者を対象とした、無作為化比較試験(RCT)のメタ分析。電子データベース(例、MEDLINEおよびEmbase)を用いて、創始時から 2024 年 6 月までの文献検索を行った。全身麻酔下で手術を受ける成人患者において、ステロイドの静脈内投与をプラセボまたは無治療と比較した無作為化比較試験(RCT)を対象とした。主要転帰は、有効な QoR 尺度(QoR-15 および QoR-40)で評価した術後 1 日目(POD)および 2〜3 日目の QoR スコアとした。副次評価項目は、QoR 測定値、鎮痛剤救助、疼痛スコア、術後悪心嘔吐(PONV)などであった。

951 人の患者が対象となった 11 件の RCT が本研究に含まれた。ステロイド群では、POD 1 のグローバル QoR スコア(標準化平均差[SMD]: 0.52; 95% 信頼区間[CI]: 0.22〜0.82;P=0.0007)および POD2-3 (SMD:0.50;95%CI:0.19〜0.81;P=0.001)において、対照群と比較して有意な改善を示した。有意な改善がみられたPOD1では全 QoR 項目で有意な改善が観察され、その効果量は小から中程度であった。ステロイドの静脈内投与はまた、鎮痛剤のレスキュー必要量(RR:0.77;95%CI:0.67〜0.88;P=0.0003)、術後疼痛スコア(SMD:-0.41;95%CI:-0.68〜-0.14;P=0.003)、および PONV 発生率(RR:0.73;95%CI:0.56〜0.95;P=0.02)を有意に減少させた。

ステロイドの静脈内投与は手術後の QoR を有意に改善した。ステロイドの有益性は、QoR の全側面、および鎮痛剤の必要量、疼痛スコア、PONV などの重要な臨床転帰に及ぶ。これらの所見は、術後の回復の質を高める効果的な戦略としてのステロイドの使用を支持するものである。

ある程度侵襲の強い手術では、ルーチンにステロイドを投与しても良いのかもしれないな。

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