急性肺塞栓症患者における挿管と人工呼吸:スコープレビュー

肺塞栓.png・高リスクの急性肺塞栓症(PE)は重大な死亡率と関連しており、緊急の気管挿管と人工呼吸を必要とすることがある。気管挿管と人工呼吸は心肺の不安定性を悪化させると考えられている。著者らの目的は、急性 PE における挿管前後のイベントを調査した研究を特定するために系統的な文献レビューを行うことである。

・Medline、Embase、Web of Science、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature、Cochrane Library の系統的検索を行った。結果は 2 名の独立したオブザーバーによってスクリーニングされた。急性 PE 患者における挿管および陽圧換気について報告している研究を対象とした。主要評価項目は挿管前後の有害事象とした。データは統合され、バイアスリスクの評価が行われた。

・4100 件の論文がスクリーニングされた。104 例の急性 PE 患者からなる 3 件の後ろ向き研究が基準を満たし、組み入れられた。挿管前後に、血行動態の破綻が 19%〜28% の症例で観察された。血行動態虚脱を認めた患者では、心エコー検査による RV 機能障害の割合が高かった。

挿管前後の有害事象は急性 PE 患者によくみられる。現在のエビデンスは限られており、患者の転帰を改善するために、急性 PE における呼吸不全の管理および挿管する患者の選択を最適化するためのさらなる研究の必要性を強調している。

気管挿管自体は悪くないのだろうが、陽圧呼吸による右心系への静脈還流量の低下が、肺塞栓による左心系への血流障害をさらに悪化させて循環虚脱へと進展するのだろう。輸液負荷と、できれば自発呼吸の温存、心収縮増強が良いのかな。

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