下肢人工関節全置換術後の疼痛管理に対する多剤併用カクテルの骨膜外局所注入の有効性に関する研究

カクテル.png・変形性関節症(OA)は関節を含む慢性的な衰弱状態であり、最終的には慢性疼痛、可動域制限、関節の機能障害を引き起こす。末期 OA に対する最も標準的な治療は人工関節置換術である。人工関節置換術後、患者は術後に耐え難い痛みに襲われることがある。本研究では、人工関節置換術を受けた患者を対象に、治癒期間中の術後疼痛と膝関節可動域に関する多剤併用療法の有益な効果を評価することを目的とした。

・本無作為化症例対照研究では 32 名の患者を登録し、そのうち 16 名は膝関節炎を有し人工膝関節全置換術を受けた患者であった。一方、他の 16 人は股関節症で人工股関節全置換術を受けた。無作為化は単純無作為抽出法(エンベロープ法)で行われ、患者はそれに従ってA 群と B 群に分けられた。A 群は硬膜外鎮痛を用いた術後疼痛管理法で、12 時間間隔でトップアップを行う。B 群では、クロニジン、セフロキシム、トラマドール、ブピバカイン、アドレナリン、生食からなる多剤併用硬膜外鎮痛法を用いた。術後、歩行と安静時の視覚アナログ尺度(VAS)を評価した。関節可動域と歩行距離が術後に評価され、群間で比較された。

・OA を有し、人工膝関節全置換術(TKA)および人工股関節全置換術(THA)を受けた患者 32 名を抽出し、単純無作為抽出法(エンベロープ法)により、それぞれ 8 名の症例群と対照群に分けた。硬膜外群とカクテル群の術前 VAS スコアの平均は、それぞれ 7.88±0.61 と 7.44±0.62 で有意差はなかった(p=0.0057)。しかし、24 時間後、48 時間後、72 時間後の起立時の VAS スコアで両群を比較したところ、硬膜外鎮痛で管理した群では起立時の VAS スコアが有意に高く、24 時間後、48 時間後、72 時間後それぞれ p=0.001、0.001、0.001 で有意であった。また、術後 24 時間、48 時間、72 時間では、カクテル鎮痛を行った被験者で平均運動度が有意に高く、それぞれ p=0.013、0.001、0.001 であった。

術後早期の疼痛緩和の結果として、本研究では、作用機序の異なる 2 種類以上の薬剤を併用するマルチモーダル鎮痛法は、患者の満足度を高めることに成功したと結論している。患者に局所的に投与された多剤併用療法は、機能的転帰の改善、早期回復、より良いリハビリテーションをもたらした。

局所投与カクテルの有効性についての研究である。クモ膜下モルヒネは 12 - 24 時間しか期待できないが、鎮痛剤カクテルの局所注入で術後 2〜3 日まで疼痛軽減が期待できそうだ。

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