全身麻酔におけるレミマゾラムの術後悪心嘔吐に対する効果:系統的レビューとメタ分析

レミマゾラム2.png・ ベンゾジアゼピン系薬剤は術後悪心嘔吐(PONV)を減少させるが、新規ベンゾジアゼピンであるレミマゾラムの使用に関しては相反する結果が報告されている。このメタ分析では、全身麻酔に使用されるプロポフォールや揮発性薬剤と比較して、レミマゾラムが PONV 発生率を減少させるかどうかを検討する。

・PubMed、EMBASE、CENTRAL、Web of Science などの電子データベースを 2023 年 7 月 31 日に検索した。主要評価項目は PONV の発生率とした。副次評価項目は、PONV 重症度、レスキュー制吐薬の使用、レミフェンタニルの使用量、参加者の満足度スコアなどであった。オッズ比(OR)および平均差(MD)と 95% 信頼区間(CI)は、ランダム効果モデルを用いて算出した。バイアスリスク(RoB)はコクラン RoB2 ツールを用いて評価した。

11 件の無作為化比較試験から、合計 1514 例の成人患者が組み入れられた。PONV の発生率はレミマゾラム群で 16.1%、対照群で 16.5% であった。レミマゾラムは PONV の発生率を増加させなかった(OR 0.62; 95%CI、0.37-1.04; p=0.0676; I2=48%)。サブ群解析では、レミマゾラムと揮発性薬剤との比較で PONV の有意な減少がみられたが(OR 0.25;95%CI、0.13-0.47;P=0.0000;I2=0%)、プロポフォールとの比較ではみられなかった(OR 1.04;95%CI、0.70-1.56;P=0.8332;I2=0%)。レミフェンタニルはレミマゾラム群で揮発性群より多く使用されたが、レミマゾラム群とプロポフォール群との間に有意差はなかった。参加者の満足度はレミマゾラム群で高かった。

レミマゾラムはプロポフォールと比較して PONV リスクを増加させず、揮発性薬剤と比較して PONV 発生率を減少させ、参加者の満足度も高かった。今回の知見を検証するためには、さらに綿密に計画された大規模臨床試験が必要である。

レミマゾラムによる麻酔後の PONV は、プロポフォールと同程度で、患者満足度が高いと。

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