■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/10/01

MCQ55.png




【問題1】(心臓・血管) 高血圧緊急症に含まれないのはどれか?
1) 肺水腫を伴う急性左心不全
3) 脳内出血
5) 解離性大動脈瘤
2) 高血圧性脳症
4) 悪性高血圧


    ▼

    ▼

    ▼

[解説] 高血圧緊急症とは、血圧の著しい上昇により脳、心、腎などの臓器障害(end organ damage)をきたすか、あるいはそれが進行しつつある状態で、緊急(1時間以内)かつ適正な降圧を必要とする。本症の高血圧の成因は本態性、二次性のいずれかを問わない。まず、24時間以内に血圧がコントロールされるべき高血圧は高血圧急迫症として高血圧緊急症と区別される。高血圧緊急症(hypertensive emergencies)には、高血圧性脳症、脳内出血、肺水腫を伴う急性左心不全、解離性大動脈瘤、子癇、心筋梗塞を伴う高血圧、頭部外傷あるいは広範囲火傷を伴う高血圧などが含まれ、高血圧急迫症(hypertensive ergencies)には、悪性高血圧、周術期高血圧、子癇前症などが含まれる。


[正解] 4 [出典] 内科レジデント実践マニュアルp73



【問題2】(体液・電解質) 体液量の調節と異常について正しいのはどれか?

ア:SIADHは、腎臓のADHに対する感受性が低下しているために起こることもある。

イ:高体温はADH分泌の刺激因子である。

ウ:正常人ではADH分泌に対する浸透圧閾値はおよそ289mOsm/Lである。

エ:β刺激はADH分泌の抑制因子である。

オ:頭蓋内圧上昇はADH分泌の刺激因子である。


    ▼

    ▼

    ▼

[解説] ア:×:SIADHは、血漿浸透圧が低下しているにもかかわらずADHの分泌が不適切に多いか、あるいは腎臓のADHに対する感受性が高まっているために起こる。
イ:○:高体温はADH分泌の刺激因子である。その他の異常な生理状態としては、出血性ショック、頭蓋内圧上昇、陽圧換気などでもADH分泌が刺激される。
ウ:○:正常人ではADH分泌に対する浸透圧閾値はおよそ289mOsm/Lである。
エ:×:β刺激はADH分泌の刺激因子である。高浸透圧、血管内容量低下、立位、疼痛および感情ストレス、コリン作動性受容体刺激もADH分泌の刺激因子である。
オ:○:頭蓋内圧上昇はADH分泌の刺激因子である。



[正解] 解説を参照 [出典] 麻酔科シークレット第2版 p21-27


■ これって常識? ■
心不全の発症誘因で最も多いのは感染

1)基礎疾患があっても実際に心不全が非代償性にいたる場合は,何らかの誘因が存在する.代表的なものは感染である.ウイルス性の上気道炎でも,高齢者にとっては十分な誘因となる.
2)その他に,水分摂取過剰,過労や不摂生,自己判断での服薬中止,血圧上昇,心房細動,新たな心筋梗塞,肺塞栓,腎不全,貧血などがある.
3)何回も心不全で入院しているからといって油断せず,病歴,身体所見,X線,心電図を見直すことが大切.


[出典] 知っているつもりの内科レジデントの常識非常識 第3章 378の常識 循環器編



【問題3】(心臓・血管) 有意冠動脈狭窄とは、冠動脈内径の(  )%以上の狭窄をいう。
1) 75 2) 50 3) 85 4) 90 5) 95

    ▼

    ▼

    ▼

[解説] 有意冠動脈狭窄とは,冠動脈内径の75%以上の狭窄をいう. 器質的冠動脈狭窄(冠動脈硬化)の診断には,運動負荷試験が有効である.しかし運動負荷試験で陽性を示すのは,一般に90%以上の狭窄病変である.75%程度の狭窄では,必ずしも運動負荷試験陽性にはならないので注意が必要である.


[正解] 1 [出典] 知っているつもりの内科レジデントの常識非常識 第3章 378の常識 循環器編

この記事へのコメント