■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/10/03

【問題1】(心肺蘇生) マネキンを用い口・口人工呼吸のトレーニングを行う際、マネキンの口をガーゼで拭き、エチルアルコール綿で清拭しても次の練習者にうつる病気はどれか。 | ア:AIDS ウ:単純性ヘルペス オ:どれも感染しない | イ:B型肝炎 エ:結核 |
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[解説] マネキンによる蘇生法実習で、HIV、HBV、ヘルペスウイルス、結核菌を含めた気道感染症への罹患が心配される。しかし、米国では過去25年間に約700万人の人々がマネキン蘇生法実習を行っているが、罹患したという報告はない。HIVもHBVも一般に考えられている以上に弱く、HIVは通常の消毒薬で室温で10分以内に活性を失う。しかし、マネキンの顔、口は実習者毎に70%アルコールで十分拭き、清拭後は30秒間濡れたままにおき、これを清潔ガーゼで拭き取るのが安全である。アルコールは殺菌力は強いが全能ではなく、機械的な清拭に重点を置く。
[正解] (オ) [出典] 第34回麻酔指導医認定筆記試験:B35
【問題2】(心臓手術の麻酔) 心肺バイパスを用いる手術中、核心温の良い指標となるのはどれか。 | ア:血液温 ウ:直腸温 | イ:鼓膜温 エ:鼻咽頭温 |
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[解説] 血液温は上がりやすく、また下がりやすい。核心温は反映しない。鼻咽頭や鼓膜は内頚動脈からの血液を受けているので、そこでの温度は脳温度を反映する。直腸は、心肺バイパス中は温度変化も遅く、末梢温度と考えるべきである。
[正解] (イ)、(エ) [出典] 麻酔科クリニカル問題集
【問題3】(体液・電解質) 体液量の調節と異常について正しいのはどれか? | ア:経口糖尿病薬クロルプロパミドはADH分泌の抑制因子である。 イ:腎性尿崩症は、腎臓がADHに対する応答を低下させたために生じる。 ウ:SIADHでは、血液が希釈され低ナトリウム血症を来たす。 エ:アンギオテンシノーゲンは血管内皮で合成される。 オ:毛細血管の静水圧は体液を血管外へ押し出す力となる。 |
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[解説] ア:×:経口糖尿病薬クロルプロパミドはADH分泌の刺激因子である。モルヒネ、三環系抗うつ薬、ニコチンなども刺激に作用する。
イ:○:神経性尿崩症では、ADHの合成が低下したり下垂体後葉からの放出が減少する。これに対し、腎性尿崩症は、腎臓がADHに対する応答を低下させたために生じる。
ウ:○:SIADHでは、血漿浸透圧が低下しているにもかかわらずADHの分泌が不適切に多いか、あるいは腎臓のADHに対する感受性が高まっているために起こる。水の再吸収が亢進し、細胞外液量が増加する結果、血液が希釈され低ナトリウム血症を来たす。
エ:×:アンギオテンシノーゲンは肝臓で合成される。
オ:○:正常な条件では、毛細血管の静水圧は体液を血管外へ押し出す力となり、浸透圧は体液を血管内へ再吸収する力となる。この力を差し引きすると小動脈から体液を押し出す力となるが、、90%ほどの体液は小静脈に戻る。
[正解] 解説を参照 [出典] 麻酔科シークレット第2版 p21-27
■ これって常識? ■ 吐血の患者をみたら,本当に吐血か否かを確かめよ! |
鼻腔や口腔からの出血,あるいは喀血の可能性も考える.
[出典] 知っているつもりの内科レジデントの常識非常識 第3章 378の常識〜消化器編
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