第 2 世代ラリンジアルマスクにおける胃チューブ挿入の有無による胃送気:無作為化比較クロスオーバー試験

第2世代LMA.png・第 2 世代ラリンジアルマスクには、胃内容物を排出することにより誤嚥のリスクを軽減する目的で、胃管用の追加ルーメンが装備されている。しかし、陽圧換気中に胃管を胃管路に挿入することが、誤嚥の病態機序の大部分を占める胃送気に及ぼす影響は明らかではない。著者らは、挿入された胃管は胃送気のリスクを増加させるという仮説を立てた。

・ドイツの 3 次大学病院における単施設前向き無作為化対照クロスオーバー試験。対象患者 ASA-PS I-III の患者 152 例で、ラリンジアルマスクを用いた全身麻酔が予定されていた。異なるカフデザイン(膨張式または熱弾性)の 2 種類のラリンジアルマスクのいずれかを使用しながら、最大気道内圧 30cmH2O までの漸増的圧力試験中、および胃チューブを挿入した場合と挿入しない場合の口腔咽頭リーク圧測定中に胃送気が調査された。胃送気はリアルタイム超音波検査で検出した。

胃送気の頻度は、胃チューブを挿入していない場合よりも挿入している場合の方が、漸増圧試験中(10.9%(16/147 例) vs 2.7%(4/147 例)、p=0.009)および口腔咽頭リーク圧測定中(16.3%(24/147 例) vs 5.4%(8/147 例)、p=0.004)に高かった。胃送気リスクは 2 種類のカフタイプ間で差はなかった(p=0.100)。開放された胃管路上の流量は、陽圧換気中(p=0.003)および口腔咽頭リーク圧測定中(p=0.049)の胃送気と関連していた。術後悪心嘔吐の発生率は、胃送気が検出された患者では他の患者と比較して高かった(17.1%(6/35) vs 5.4%(6/112)、p=0.037)。

第二世代ラリンジアルマスクの胃管路に胃管を留置することは、カフの種類に関係なく、胃送気リスクを増加させる。胃管路を通過する流量は胃送気リスクが高いことを示し、胃気腹は術後悪心嘔吐のリスクを増加させる可能性がある。

食道へ流入しようとするガスは、胃管路を通じて排出されるのかな。胃チューブを留置しているとそれを妨げてしまって、かえって胃送気になってしまうのかもしれない。

20241020-1.pdf

この記事へのコメント