脊椎麻酔下の帝王切開術における術中悪心嘔吐予防のためのレミマゾラムとミダゾラムの比較:無作為化比較試験

レミマゾラム5.png・術中悪心嘔吐(IONV)を予防することは、脊椎麻酔下の帝王切開における母体の安全にとって極めて重要である。ミダゾラムが IONV を予防することが知られているが、血行動態への影響が少ないことからレミマゾラムが優れているという仮説を立てた。IONV に対する両薬剤の効果を比較した。

帝王切開が予定されている分娩患者をミダゾラムとレミマゾラムのいずれかを投与する群に無作為に割り付けた。ミダゾラム 2mg またはレミマゾラム 5mg が投与され、希望に応じて追加投与が行われた。主要評価項目は、鎮静中に新たに発症した IONV の発生率であった。その他の転帰は、全体的な IONV、レスキュー制吐薬の使用、シバリング、血行動態変数、鎮静スケールスコア、満足度スコアなどであった。

・80 人の参加者のデータが解析された。血行動態の傾向は両群間で同等であったが、レミマゾラム群の方が深い鎮静が導入された(P<0.001)。全 IONV の発生率は両群間で同等であった(ミダゾラム群27.5% vs レミマゾラム群 17.5%、絶対リスク減少[ARR]: 0.100、95% 信頼区間[CI][-0.082、0.282]、P=0.284);しかしながら、鎮静中に新たに発症した IONV はレミマゾラム群で有意に減少した(20.0% vs 5.0%、ARR:0.150、95%CI[0.009、0.291]、P=0.043)。レスキュー制吐薬の必要性もレミマゾラム群で低かった(15.0% vs 2.5%、ARR:0.125、95%CI[0.004, 0.246]、P=0.048)。

レミマゾラムはミダゾラムと比較して、新たに発症した IONV の発生率と重症度を有意に減少させ、血行動態への影響も最小限であったことから、帝王切開における鎮静薬の選択肢として有用である。

レミマゾラムのほうがミダゾラムよりも、術中悪心嘔吐の発生率と重症度が有意に低いと。単にレミマゾラムのほうが投与量が多く深い鎮静だったからかもしれないが。

対訳テキスト:20241012-1.pdf

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