■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/10/29
【問題1】(心臓・血管) 冠動脈閉塞後の心筋梗塞の範囲は、30分で心内膜側に発生し、( )で壁厚の50%に達する。 | 1) 24時間 4) 3時間 | 2) 6時間 5) 1時間 | 3) 12時間 |
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[解説] 冠動脈閉塞後の心筋梗塞の範囲は,30分で心内膜側に発生し,3時間で50%,12時間で貫壁性となる。
1)このように心内膜側から壊死巣が時間とともに次第に外側に広がり,貫壁性梗塞が完成する様子を wave front phenomenonという.
2)この実験モデルの結果はわかりやすいが,実際には再灌流,側副血行路などさまざまな要因で修飾されるので,臨床像は個々の患者で異なる.
3)再灌流療法の結果を大きく左右する要因の一つは,閉塞から再灌流までの時間である.壊死しつつある心筋を少しでも多く救うためには,閉塞後 3時間以内に再灌流を行うことが望ましい.
[正解] 4 [出典] 知っているつもりの内科レジデントの常識非常識 第3章 378の常識 循環器編
【問題2】(心臓・血管) 急性心筋梗塞の入院後死亡率は,再灌流療法の導入により( )%に低下している。 | 1) 7〜10 4) 10〜20 | 2) 3〜5 5) 20〜30 | 3) 1〜2 |
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[解説] 1)CCU(心臓集中治療室)が開設されるまでの急性心筋梗塞の入院後死亡率は30〜40%.致死的不整脈の管理をCCUで行うことで,入院後死亡率は約20%程度に低下した.
2)ウロキナーゼ(UK,pro-UK)や t-PAによる血栓溶解薬による再灌流療法の導入により,死亡率はさらに低下し約15%となった.その後,緊急PTCA(direct PTCA)が積極的に導入され,死亡率は7〜10%にまで低下した.
[正解] 1 [出典] 知っているつもりの内科レジデントの常識非常識 第3章 378の常識 循環器編
【問題3】(産科麻酔) 産科麻酔について正しいのはどれか? | ア:胎盤静脈は栄養に富んだ血液を胎児循環に返す。 イ:分娩第2期の痛みは、交感神経線維を介する。 ウ:母体の平均動脈圧が25%以上低下すると子宮血流量が減少する。 エ:妊婦のヘモグロビン値は妊娠中期までに15%減少する。 オ:妊婦の分時換気量は50%増加する。 |
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[解説] ア:○:胎盤の絨毛は2本の胎盤動脈と1本の胎盤静脈で構成されており、胎盤動脈は胎児からの血液を胎盤に向かって流し、胎盤静脈は栄養に富んだ血液を胎児循環に返す。
イ:×:分娩第2期の痛みは、骨盤底、下部膣、会陰部の進展によるもので、陰部神経を経て、脊髄のS2〜S4に入力される。
ウ:○:母体の平均動脈圧が25%以上低下すると子宮血流量が減少する。
エ:○:妊婦のヘモグロビン値は妊娠中期までに15%減少する。血漿量の増加に比し赤血球量の増加が遅れるため、妊娠中は相対的貧血の状態となる。
オ:○:妊婦の分時換気量は50%増加する。1回換気量は40%増加し、呼吸数が15%増加する。
[正解] 解説を参照 [出典] 麻酔科シークレット第2版 p412-419
【問題4】(体液・電解質) 体重7kgの乳児の一日水分維持量はどれくらいか? | 1) 700ml 3) 200ml 5) 500ml | 2) 900ml 4) 600ml |
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[解説] 年令と体重が分かれば、小児の維持輸液量=(4−年令×0.1)ml/kg/時、体重から算出する場合、BW<10;4ml/kg/hr、10<BW<20;40+2×(BW−10)ml/hr、BW>20;60+(BWー20)ml/hr.あるいは1日量で計算すると、体重をはじめの10kg、次の10kg、と残りのXkgに分けて、100、50、20をそれぞれ掛けて合計する。(例1)体重7kgならはじめの10kgだけなので、7×100=700、 (例2)体重15kgなら10×100+5×50=1250. (例3)体重20kgなら10×100+10×50=1500. (例4)体重30kgなら10×100+10×50+10×20=1700
[正解] 1 [出典] クリティカル記憶術1P257
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