腹部骨盤手術を受ける成人における第 2 世代声門上気道器具と気管挿管との比較：系統的レビューとメタ分析

・第 2 世代の声門上エアウェイ（SGA）デバイスは広く使用されているが、気管チューブ（ETT）に比べて安全性が劣ると考えられている。著者らは、全身麻酔下で腹部骨盤手術を受ける成人において、周術期の安全性、有効性、回復の質について、第 2 世代の SGA と ETT を比較した。主要目的は、主要気道合併症という形で安全性を評価することであった。副次的目的は、その他の安全性、有効性、回復の質のアウトカムであった。

・腹部骨盤手術を受けた成人患者を対象に、第 2 世代の SGA と ETT を比較した無作為化比較試験を 4 つのデータベースから検索した。2 人によるスクリーニングとデータ抽出の後、ペアワイズメタ分析を行い、GRADE アプローチを適用してエビデンスの確実性を評価した。

・5110 人の患者を無作為化した合計 51 件の研究が含まれた。第 2 世代 SGA は、周術期の主要な気道合併症のリスクを有意に低下させた（リスク比[RR]、0.41；95%信頼区間[CI]、0.23-0.71；P=0.007；確信度低）が、逆流や誤嚥には臨床的に関連する明確な差は認められなかった（確信度低）。SGA は換気不全のリスクを有意に増加させた（RR、3.36；95%CI、1.43-7.89；P=0.011；非常に低い確実性）；しかしながら、術後の咽頭痛（RR、0.52；95%CI、0.38-0.70；P＜0.001；中程度の確実性）、嗄声（RR、0.32；95%CI、0.231-0. 48；P＜0.001；低い確実性）、麻酔覚醒時の咳嗽（RR、0.17；95%CI、0.08-0.36；P＜0.001；低い確実性）、および術後悪心嘔吐（RR、0.64；95%CI、0.42-0.98；P＝0.042；非常に低い確実性）はすべて、SGA の方が頻度が低かった。その他の転帰については、臨床的に関連する差は観察されなかった。

・第 2 世代の SGA は、全身麻酔下で腹部骨盤手術を受ける成人において、ETT と比較して主要な気道合併症のリスクを低下させ、逆流や誤嚥のリスクに臨床的に関連する差は報告されていない。さらに、咽頭痛、嗄声、術後悪心嘔吐のリスクも低く、術後の回復の質も向上する。これらのデータは、臨床医が保存的気道管理の意味を再評価し、日常臨床における第二世代 SGA の役割を拡大する可能性を提供するものである。

ひこ

気管挿管に比べると SGA は、上気道合併症が少ない。筋弛緩さえ効かしてさえおけば、換気不能の事態には陥ることはないだろうから、積極的に使用してよいのではないだろうか。

【出典】
Second-Generation Supraglottic Airway Devices Versus Endotracheal Intubation in Adults Undergoing Abdominopelvic Surgery: A Systematic Review and Meta-Analysis
Anesth Analg. 2024 Oct 10.

対訳テキスト：20241029-1.pdf

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