■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/10/31

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【問題1】(心臓・血管) 次のうち、人工心肺装置の主回路でないものはどれか?
1) 動脈フィルタ
4) 脱血回路
2) 吸引回路
5) 静脈貯血槽
3) 人工肺


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[解説] 脱血された静脈血は、人工肺でガス交換が行われ、酸素化を受けた動脈血は、動脈フィルター及び送血回路を介して上行大動脈に挿入された送血用カニューレにより、患者の動脈内に送られる。この脱血回路、静脈貯血槽、人工肺、動脈フィルタをつなぐ回路を「主回路」と呼ぶ。この主回路以外に「吸引回路」、および「ベント回路」がある。吸引回路は、術野に溜まった血液を吸引する回路であり、ベント回路は、心臓が過伸展しないように心臓内から血液を吸引する回路である。これら2つの回路から吸引された血液は、同様に静脈貯血槽に導かれ、主回路に入る。


[正解] 2 [出典] LiSA Vol6-No2-p104(1999)



【問題2】(出血と輸血) 正しいのはどれか?

ア:麻酔関連偶発症例調査によると、出血は手術室における心停止の原因の約1/3を占めている。

イ:緊急を要する赤血球濃厚液投与は、交差適合試験を省略して、ABO同型血を用いる。

ウ:不規則抗体陽性の場合、緊急時であっても赤血球濃厚液投与は交差適合試験を省略してはいけない。

エ:緊急を要する赤血球濃厚液投与は、血液型不明の場合はO型を使用する。

オ:日本人では患者がRhD陰性である確率は0.5%である。


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[解説] ○:麻酔関連偶発症例調査によると、出血は手術室における心停止の原因の約1/3を占めている。また、周術期死亡(術中〜術後7日以内死亡)原因の約1/2を占めている。
○:緊急を要する赤血球濃厚液投与は、交差適合試験を省略して、ABO同型血を用いる。
×:緊急を要する赤血球濃厚液投与は、不規則抗体陽性の場合でも、交差適合試験を行わず、ABO適合を優先する。
○:緊急を要する赤血球濃厚液投与は、血液型不明の場合はO型を使用する。
○:日本人では患者がRhD陰性である確率は0.5%であるが、海外では15〜20%程度が一般的である。



[正解] 解説を参照 [出典] 危機的出血への対応ガイドライン


【トラブル・シューティング】〜麻酔緊急Vol.2p100

(換気)『マスク麻酔下の開腹術時の胃内容逆流』

子宮外妊娠による急性腹症に対する緊急開腹術に際し、問診で飲食中に腹痛が起きたとのことから胃内容の逆流の危険性があるため、マスク麻酔より気管内挿管の方が安全である旨を先輩医師に進言したが、受入れられずGOエーテルのマスク麻酔が行われた。術中腹膜が開いた頃にマスク内部に嘔吐を認め、口腔内・鼻腔内に飯粒が溢れ出してきた。みるみるチアノーゼが出現、吐物の掻き出し、気管内挿管、気管内吸引と洗浄を行った。幸い誤嚥は少なく無事手術終了、術後の経過も順調であった。フルストマックでマスク麻酔は危険、脊椎麻酔か意識下挿管による吸入麻酔にすべきであった。









【問題3】(心臓・血管) 心筋梗塞でもっとも早期に異常を示すのはどれか?
1) GOT
4) CPK
2) 白血球
5) CRP
3) ミオグロビン


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[解説] 心筋梗塞発症後の逸脱酵素などの変化としては、ミオグロビン→白血球→CK→GOT→LDH→CRP→血沈の順に変化が起こる。早期診断にはミオグロビンやCPKが有用であり、発症3〜4日目にはLDHが有用である。最も長期にわたり異常値を示すのは赤沈で5週間程度で正常化する。


[正解] 3 [出典] クリティカル記憶術2P317

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