■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/11/01
【問題1】(呼吸) 肺の圧外傷と最も関連深いパラメータはどれか? | 1) 吸気時間 3) 一回換気量 5) 最高気道内圧 | 2) 平均気道内圧 4) 吸気流速 |
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[解説] 人でも動物でも肺の圧外傷は最高気道内圧の上昇によって引き起こされると考えられている。さらにARDSの治療中に死亡した患者の最高気道内圧は、生存した患者の最高気道内圧に比べ有意に高かったという報告もある。肺の圧外傷の頻度を低下させるためには最高気道内圧を抑える必要がある。酸素化を促進するためには平均気道内圧を上昇させる必要がある。そこにIRVの存在意義がある。
[正解] 5 [出典] 呼吸管理必携P104
【問題2】(溺水・中毒・体温) 体温が1度上昇するごとに脈拍数はどれくらい上昇するか? | 1) 3〜5bpm 3) 15〜20bpm 5) 変化しない | 2) 7〜10bpm 4) 25〜30bpm |
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[解説] 体温が1度上昇するごとに代謝量は13パーセント、不感蒸泄は15%、心拍数は15〜20bpm増加するとされている。体温に比して徐脈な場合(発熱の比較的徐脈=Faget's sign)には、以下のことを鑑別する。(1)徐脈性不整脈:SSS、房室ブロック (2)洞結節の抑制:薬剤(βブロッカー、Ca拮抗剤)、疾患(甲状腺機能低下症、副腎不全症) (3)特異的な疾患:感染症(腸チフス、結核、レジオネラ、オウム病、レプトスピラ症、ロッキー山熱、デング熱、黄熱病、プルセラ症)、非感染症(drug fever、頭蓋内圧亢進、リンパ腫、詐病)
[正解] 3 [出典] 内科レジデントマニュアルP51
【問題3】(心臓・血管) 解離性大動脈瘤の診断において胸部X線写真上のカルシウム・サインは何ミリ以下が正常か? | 1) 7mm以下 4) 2mm以下 | 2) 10mm以下 5) 5mm以下 | 3) 15mm以下 |
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[解説] 胸部X線写真による解離性大動脈瘤の診断:縦隔陰影の拡大とくに大動脈弓の上方および側方への拡大、内膜石灰化の内方への偏位、胸水の有無、心陰影拡大をチェックする。カルシウム・サイン(内膜に沈着した石灰化を目印に大動脈外膜との距離を測定)=5ミリ以下が正常.大動脈解離では必ずしも縦隔陰影の拡大を伴うわけではない。
[正解] 5 [出典] 内科レジデントマニュアルP144
【問題4】(体液・電解質) 電解質について正しいのはどれか? | ア:多飲症で見られる低ナトリウム血症では、細胞外液量は過剰である。 イ:高ナトリウム血症は最小肺胞濃度を上昇させる。 ウ:原発性アルドステロン症で見られる高ナトリウム血症では、ナトリウムは過剰である。 エ:高ナトリウム血症とは血液中のナトリウム濃度が145mEq/lを超えることである。 オ:偽性低ナトリウム血症は、脂肪などの増加による見かけ上の水過剰である。 |
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[解説] ア:×:SIADH、甲状腺機能低下症、ACTH単独欠損症、多飲症で見られる低ナトリウム血症では、細胞外液量は正常である。
イ:○:高ナトリウム血症は吸入麻酔薬の最小肺胞濃度を上昇させる。
ウ:○:原発性アルドステロン症やクッシング症候群または重曹の過剰投与見られる高ナトリウム血症では、ナトリウムは過剰である。
エ:○:高ナトリウム血症とは血液中のナトリウム濃度が145mEq/lを超えることである。
オ:○:偽性低ナトリウム血症は、脂肪などの増加による見かけ上の水過剰である。
[正解] 解説を参照 [出典] 麻酔科シークレット第2版 p28-32
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