開腹胃切除術を受ける患者における周術期低体温の発生に及ぼす総脂肪量と骨格筋量指数の影響

低体温4.png・全身麻酔を受ける患者によくみられる周術期低体温は、中核体温が 36 ℃未満と定義される。患者の体組成と低体温の発生率との関係はまだ十分に報告されていない。本研究の目的は、開腹胃切除術を受ける患者における体組成と周術期低体温との関連を明らかにすることである。

・開腹胃切除術を受けた患者を本研究に登録した。膀胱温が 36 ℃以下の患者を低体温群に、それ以外の患者を対照群に割り付けた。患者の体組成は生体電気インピーダンス分析により評価した。

・本研究には 68 人の患者が対象となった。そのうち 34 例が周術期低体温(膀胱温 36 ℃以下)をきたし、低体温群に分類され、残りの 34 例は対照群とされた。低体温群では体重あたりの体表面積が有意に高かった。さらに、低体温群では、総脂肪量、骨格筋量指数、基礎代謝量が有意に低かった(P<0.05)。しかし、体脂肪率と内臓脂肪量は群間で有意差はなかった。多変量解析により、11.2kg 未満の総脂肪量(HR 4.51、95%CI:1.35-15.03、P=0.014)および 10.06kg/m2 未満の骨格筋量指数(HR 5.61、95%CI:1.86-16.93、P=0.002)が周術期低体温の独立危険因子であることが同定された。

低い総脂肪量と低い骨格筋量指数は、開腹胃切除術を受ける患者における周術期低体温の有意な危険因子である。これらの危険因子は、周術期低体温の高リスク患者を同定する精度を向上させる可能性がある。

低体温の危険因子は、体重あたりの体表面積が高いこと、総脂肪量、骨格筋量指数、基礎代謝量が低いこと。いずれも合理的だ。ざっくりいうと BMI が低い患者は低体温になりやすい。

対訳テキスト:20241129-2.pdf

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