■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/12/03
【問題1】(呼吸) Closing capacityが機能的残気量(FRC)を越えるcritical ageは坐位では何才くらいか? | ||||
1) 45才 | 2) 55才 | 3) 75才 | 4) 85才 | 5) 65才 |
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[解説] CC(closing capacity)=CV(closing volume)+RV(残気量)。Closing capacityが機能的残気量(FRC)を越えるcritical ageは坐位では85才(過去の報告では65才)、仰臥位60才(過去の報告では45才)とされる。CC>FRCは、安静時においても吸気時に末梢気道の一部に閉塞が生じていることを意味する(aiway closure)。これらの末梢にある肺胞は、血液のみあって換気がなくなる。肺胞内にとじ込められたガスは、やがて吸収されて肺胞が虚脱し無気肺となる。CVは年齢とともに増加する。これは、肺の弾性減弱と気道の虚脱による。その他、喫煙、肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息、左心不全などでCVは増加する。
[正解] 4 [出典] 手術直後の患者管理P127、高齢者の麻酔P46
【トラブル・シューティング】〜麻酔緊急Vol.1p150 (小児麻酔)『小児のマスク麻酔中にチアノーゼ!』 喉頭痙攣は周術期に約1.7%に、上気道感染が存在すれば9.6%に増加する。喉頭痙攣への対処:吸入気を純酸素とし、バッグをやや加圧し気道内持続陽圧とする。飽和度は下がり続けるが無視し、気道に軽く陽圧をかけ続ける。吸気努力に応じて声門が少し開くので、この動きに合せて加圧して酸素を送り込むと徐々に換気可能となる。本法で換気が回復せず、徐脈となり心停止が予想されるときは気管内挿管すべし。全ての処置が無効である場合には、筋弛緩薬の使用をためらうべきではないが、徐脈時のサクシンは心停止の可能性があるので、非脱分極性筋弛緩薬の使用を奨める。 |
【問題2】(呼吸) 術前絶食と誤嚥について正しいのはどれか? | ア:1999年ASA作成の術前絶食ガイドラインでは、清澄液は2時間前までとしている。 イ:19世紀半ばにJames Simpson が足爪除去術のクロロホルム麻酔で15歳少女の死亡例を報告している。 ウ:1千回の麻酔につき1〜7例に重篤が誤嚥が発生している。 エ:誤嚥による平均在院日数は21日である。 オ:ファモチジンには低血圧、心ブロック、中枢神経系障害などの重篤な副作用がある。 |
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[解説] ア:○:1999年ASA作成の術前絶食ガイドラインでは、清澄液(水、果肉の入っていないジュース)は2時間前までとしている。
イ:○:19世紀半ばにJames Simpson が足爪除去術のクロロホルム麻酔で15歳少女の死亡例を報告している。
ウ:×:1万回の麻酔につき1〜7例に重篤が誤嚥が発生している。合併症は気管支痙攣や肺炎から急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺膿瘍、膿胸まで多岐にわたる。
エ:○:平均在院日数は21日で、その多くは集中治療室に入っている。平均死亡率は5%である。
オ:×:初代H2ブロッカーであるシメチジンには低血圧、心ブロック、中枢神経系障害などの重篤な副作用がある。一方、後発のファモチジン(ガスター(R))はシメチジンやラニチジンと同等の効果があるが、重大な副作用はない。一般向けに市販されるほど安全性が高い。
[正解] 解説を参照 [出典] 麻酔科シークレット第2版 p278〜281
【問題3】(外傷・出血・感染) 市中感染の場合、感染臓器と抗生物質の組合わせで不適当なのはどれか? | 1) 膀胱炎;ニューキノロン 3) 高齢者肺炎;ペニシリンG 5) 皮膚感染;第1世代セフェム | 2) 髄膜炎;セフォキシチン 4) 若年者肺炎;マクロライド |
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[解説] 市中感染の場合の感染臓器と抗生物質の組合わせ:膀胱炎→ニューキノロン、皮膚感染→第1世代セフェム or アンピシリン、若年者肺炎→マクロライド、高齢者肺炎→ペニシリンG、腹膜炎→セフォキシチン、髄膜炎→アンピシリン+セフォタキシム
[正解] 2 [出典] 研修医ノートP612
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