■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2024/12/11

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【問題1】(心疾患患者への注意) 運動負荷心電図で、重症冠動脈疾患を示唆する所見はどれか。

ア:ST部分下降が4mm以上

イ:虚血時の血圧低下

ウ:2分の運動負荷で起こる虚血

エ:回復期まで持続するST部分下降

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[解説] いずれも重症冠動脈疾患の存在を示唆する。冠動脈狭窄部位が多く、その程度が強いほど、また強い運動負荷ほど運動負荷試験で異常がみられやすい。運動負荷を行うと、正常では収縮期血圧は上昇する。左主幹動脈狭窄や三枝病変があると、虚血によりポンプ不全が起こり、心拍出量が増加しないために運動負荷による虚血時に低血圧となる可能性が高い。


[正解] (全て) [出典] 麻酔科クリニカル問題集



【問題2】(産科麻酔) 産科麻酔について正しいのはどれか?

ア:分娩第2期の痛みは、子宮の収縮と頚管の拡大による。

イ:分娩第1期は、頚管の全開大(10cm)で終わる。

ウ:妊娠中は血小板の活性が低下する。

エ:妊婦の赤血球量は満期では30%増加する。

オ:妊婦のフィブリノゲンは増加する。


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[解説] ア:×:分娩第2期の痛みは、骨盤底、下部膣、会陰部の進展による痛みである。これらの刺激は、陰部神経を経て、脊髄のS2〜S4に入力される。
イ:○:分娩第1期は、頚管の全開大(10cm)で終わる。第2期は胎児娩出、第3期は胎盤娩出で終わる。
ウ:×:妊娠中は血小板の活性ならびに消費は増加する。ほとんどの凝固因子も増加する。このため妊婦は過凝固の状態にあり、血栓性イベント(深部静脈血栓症や肺動脈血栓塞栓症など)のリスクが高くなる。
エ:○:妊婦の赤血球量は満期では30%増加する。血漿量は妊娠第1期で15%、第2期で55%増加する。
オ:○:妊婦のフィブリノゲンは増加する。



[正解] 解説を参照 [出典] 麻酔科シークレット第2版 p412-419





【問題3】(中枢神経) 髄液検査で蛋白含有量の増加しないのはどれか?
1) 脳腫瘍
4) 脳脊髄梅毒
2) 日本脳炎
5) 多発神経炎
3) 髄膜炎


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[解説] 脳腫瘍、髄膜炎、脳脊髄梅毒、多発性神経炎、ギラン・バレー症候群では蛋白量の増加を認める。


[正解] 2 [出典] 緊急処置マニュアルP132



【問題4】(中枢神経) 脊髄下端はどのレベルか?
1) S2 2) Th12 3) L3 4) L4 5) L2

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[解説] 成人における脊髄の下端レベル=L1〜L2、以下は馬尾となる。したがって、脊椎麻酔を行う場合、L2/3〜L4/5の3つの椎間のいずれかから行わなくてはならない。またクモ膜下腔の下端レベル=S2である。仙骨硬膜外麻酔で相当針を深く刺入してもクモ膜下腔に入ることは稀である。


[正解] 5 [出典] Q新麻酔科学改訂第5版p149

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