胸部手術における硬膜外麻酔と区域麻酔の使用率と転帰:ACS-NSQIP による分析

胸部硬膜外麻酔.png・研究の目的は、胸部手術における全身麻酔の補助として硬膜外麻酔を区域麻酔と比較した使用状況を経時的に明らかにし、胸部手術における全身麻酔の補助として硬膜外麻酔を使用した場合と区域麻酔を使用した場合の在院日数、全罹患率、重篤な罹患率、死亡率を比較することであった。

米国外科学会の全米手術の質向上プロジェクト(ACS-NSQIP)のデータ登録から得られた、米国の 800 以上の病院で胸部手術を受けた年齢 18 歳以上の患者(N=18,433)についての後ろ向きデータ解析(2014〜2022年)である。全身麻酔と硬膜外麻酔または区域麻酔を併用した胸部手術を対象とした。

末梢神経ブロックの使用率は経時的に増加し、肺葉切除術または肺切除術を受けた患者では着実に増加した。傾向スコアで重み付けした一般化線形モデルでは、末梢神経ブロックを受けた患者は硬膜外を受けた患者に比べて在院日数が短く(3.91 日、95% 信頼区間[CI]: 3.83、3.99 vs 5.48 日、95%CI:5.40、5.56、p<0.001)、重症合併症のオッズが低く(オッズ比 0.81、95%CI:0.76、0.86、p<0.001)、死亡のオッズが低かった(オッズ比0.74、95%CI:0.59、0.92、p=0.008)。

胸部手術における末梢神経ブロックの実施率は経時的に増加した。末梢神経ブロックを受けた患者は、硬膜外麻酔と比較して転帰が良好であった。今後、他の因子(例えば、手術方法、医療提供者、施設)を考慮しても所見が一貫しているかどうかを評価するために、十分な検出力を有する研究が必要である。

胸部手術で、全身麻酔に併用する鎮痛法として、硬膜外を受けた患者よりも末梢神経ブロックを受けた患者の方が術後転帰が優れていたと。

対訳テキスト:20250109-1.pdf

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