プロポフォールベースの全静脈麻酔酔とセボフルランベースの吸入麻酔を用いた肝切除術後の無再発生存率:無作為化比較試験

・肝細胞癌に対する待機的肝切除術を予定していた成人患者を、プロポフォールをベースとした全静脈麻酔酔とセボフルランをベースとした吸入麻酔のいずれかに無作為に割り付けた(1:1)。無再発生存率、全生存率、肝内無再発生存率、肝外無再発生存率について、Kaplan-Meier 法を用いて2群の生存曲線を推定し、log-rank 検定で比較した。主要転帰は 1 年無再発生存率であった。
・登録された 536 例のうち、一次解析では全麻酔静脈内投与群 228 例、セボフルランベースの吸入麻酔群 226 例であった。1 年後の無再発生存率は、静脈内麻酔群で 79.1%(47 イベント)、セボフルラン吸入麻酔群で77.7%(50 イベント)であった(調整ハザード比 1.04、95%CI 0.72-1.52)。肝内無再発生存率および肝外無再発生存率、ならびに 1 年後の全生存率は、静脈麻酔群とセボフルラン吸入麻酔群で有意差はなかった:それぞれ、81.3%(42 イベント) vs 81.7%(41 イベント)、91.5%(19 イベント) vs 88.8%(25 イベント)、99.1%(2 イベント) vs 100.0%(イベントなし)。サブ群解析の結果、開腹肝切除術を受けた患者では、全静脈麻酔群は腫瘍再発または死亡のハザードが有意に低いことと関連していた(ハザード比0.49、95%CI 0.25-0.95、p=0.034)が、腹腔鏡手術を受けた患者では有意差は観察されなかった(ハザード比 1.14、95%CI 0.73-1.80、p=0.558)。
・肝切除術を受けた肝細胞癌患者において、術中麻酔法は術後再発および全生存率に影響を及ぼさなかった。
ひこ
肝腫瘍の切除術では、全静脈麻酔と吸入麻酔で術後の予後に差はなかったと。
【出典】
Recurrence-free survival after hepatectomy using propofol-based total intravenous anaesthesia and sevoflurane-based inhalational anaesthesia: a randomised controlled study
Anaesthesia. 2025 Jan 8.
Recurrence-free survival after hepatectomy using propofol-based total intravenous anaesthesia and sevoflurane-based inhalational anaesthesia: a randomised controlled study
Anaesthesia. 2025 Jan 8.
対訳テキスト:20250110-1.pdf
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