■ 臨床麻酔とクリティカルケアのMCQ問題 ■ 2025/01/15

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【問題1】(周術期の呼吸不全) 人工呼吸に関して正しい記述はどれか。

ア:吸入酸素濃度が0.5未満なら酸素中毒を起こす危険はない。

イ:PEEPをかけると、機能的残気量が増加する。

ウ:肺動脈圧が高くなると、心室中隔が左室へ向かって偏位することがある。

エ:PEEPをかけると、肺内水分量は減少する。

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[解説] 吸入酸素濃度が0.5−0.6未満では、酸素中毒の危険はないとされている。


[正解] (ア)、(イ)、(ウ) [出典] 麻酔科クリニカル問題集




【問題2】(心臓・血管) IABPの循環補助効果は、心拍出量の何%くらいか?
1) 20〜30%
3) 10〜15%
5) 30〜50%
2) 5〜10%
4) 15〜20%


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[解説] IABP(大動脈内バルーンパンピング)は、バルーン付きのカテーテルを大腿動脈から挿入し、バルーン先端が左鎖骨下動脈起始部の直下になるように留置し、心臓収縮期にバルーンをしぼませ、心臓拡張期に拡張させることにより、収縮期には心臓の後負荷を軽減し(systolic unloading)、拡張期には冠動脈血流量を増加させる(diastolic augmentation).IABPの循環補助効果は、心係数増加量でで0.5L、心拍出量の15〜20%くらいである。心房の心拍出量に対するブースター効果も同程度である。大動脈弁閉鎖不全症や解離性大動脈瘤では禁忌である。


[正解] 4 [出典] クリティカル記憶術2p235




【問題3】(代謝・内分泌) プレドニン1錠(5mg)は、ハイドロコートンの力価に換算すると何mgに相当するか?
1) 10〜15mg
3) 50〜60mg
5) 同等量
2) 30〜40mg
4) 20〜25mg


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[解説] 成人の1日の副腎皮質ステロイド分泌量はハイドロコーチゾンにして20〜30mg(0.5mg/kg/day)程度(プレドニンに換算すると5mg=1錠:プレドニンの力価はハイドロコートンの5倍)、外傷や感染などのストレス時には、その10倍300mg/日(5mg/kg/day)程度まで分泌量を増加させうる。


[正解] 4 [出典] クリティカル記憶術1P164




【問題4】(外傷・出血・感染) 鈍的胸部外傷で開胸手術の適応でないのは?
1) 重症の気胸〜気管支断裂?
3) 時間出血量>250ml
5) 多量の気管内出血〜肺破裂?
2) 総出血量>2000ml
4) flail chest


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[解説] 鈍的胸部外傷においてとくに止血が問題となるのは、血胸、大血管損傷である。血胸はまず持続胸腔ドレナージによる治療が優先するが、総出血量が2000mlを越える場合や、時間出血量250ml以上が続き、止血が得られない場合は、開胸術に踏みきる必要がある。また、重症の気胸と多量の気管内出血を合併し、肺破裂や気管支断裂が疑われる場合には、自然止血が得がたく、気管内出血による呼吸不全が進行する場合が多いの、より早期に開胸術に踏み切るべきであろう。flail chestのみでは開胸術の適当とはならない。


[正解] 4 [出典] 救急医学増刊「外傷」P20

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