低侵襲食道切除術後の持続硬膜外疼痛管理と非硬膜外疼痛管理:実際の症例数の多いセンターでの経験

疼痛管理.png・食道切除術は食道癌治療の重要な要素であり、開胸開腹食道切除術(OE)に代わって低侵襲食道切除術(MIE)が行われるようになってきている。効果的な術後疼痛管理は、さまざまな鎮痛方法によって達成する可能性がある。本研究では、MIE 後の術後疼痛管理における胸部硬膜外麻酔(TEA)の有効性を TEA 以外の方法と比較する。

・2018 年から 2023 年の間に MIE を受けた患者 110 例を対象に後ろ向きレビューを行った。1. TEA vs 2. 静脈内患者管理鎮痛法(PCA)単独 vs 3. PCA 併用腹横筋面(TAP)カテーテル 4. PCA 併用傍椎骨カテーテル(PVB)によるシングルショット TAP ブロックを比較した。主要評価項目は術後 72 時間以内の疼痛で、数値評価スケールを用いて評価した。副次評価項目は、術後外科的合併症(Clavien-Dindo 分類(CDC))、患者満足度、導入・離床期間などであった。

動作時の NRS>3 の発生率は、TEA、PCA 単独、TAP+PCA、PVB+PCA でそれぞれ 47.1%、51%、60.1%、48.3%であった。安静時疼痛については、それぞれ 8.3%、4.3%、11.2%、5% であった。外科的合併症は全群で高率であった(CDC IIIa-V 31.6%)が、患者の満足度は鎮痛法差にかかわらず同様に高かった(85% が満足または非常に満足)。その他の副次評価項目に差はみられなかった。

PVB と PCA の併用は、MIE 後の術後疼痛管理において TEA に匹敵する鎮痛効果と患者満足度を提供した。

高侵襲手術では TEA が必要だけれど、低侵襲手術には、低侵襲鎮痛法で十分なんだろう。


対訳テキスト:20250115-3..pdf

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