Q:デスフルランははセボフルランよりも鎮痛作用が強いのか?

1. MAC 値と各薬剤の薬理効果の違い
・MAC 値の意味
MAC 値は、50%の患者において手術刺激に対する反応を抑制できる最小濃度を示します。しかし、これは主に運動反応(不随意運動)の抑制に関連する指標であり、必ずしも鎮痛や催眠の効果と直結しません。
・薬剤ごとの差異
同じ MAC 値であっても、各揮発性麻酔薬の薬理学的特性は異なり、結果として鎮痛作用や催眠作用に違いが生じる可能性が高いです。すなわち、MAC 値が等しい状態でも、ある薬剤はより強い鎮痛効果を示し、別の薬剤は催眠効果が強いなど、効果のバランスは一律ではありません。
(参照:[等 MAC 値は、同等の鎮痛または催眠効力を保証するか?:デスフルランとセボフルランの比較])
2. デスフルランの優れた鎮痛作用
・等最小肺胞濃度での比較
研究によれば、同じ最小肺胞濃度(MAC)条件下で、デスフルランはセボフルランに比べてより強い鎮痛作用を示すことが確認されています。これは、デスフルランが鎮痛効果において優位性を持っていることを示唆しています。
(参照:[等最小肺胞濃度でセボフルランとデスフルランの鎮痛作用を比較])
・レミフェンタニル必要量の低減
また、臨床現場でのデータでは、デスフルランを使用した場合、セボフルランを使用するよりも術中に必要な鎮痛薬(レミフェンタニル)の量が減少することが報告されています。これは、デスフルランの鎮痛効果が実際の手術現場において臨床的に意味のあるものであることを裏付けています。
(参照:[デスフルランは、セボフルランよりも術中レミフェンタニル必要量を減少させる])
結論
以上の点から、MAC 値が同じでも各揮発性麻酔薬の鎮痛および催眠効力には大きな違いが存在することが明らかです。特に、デスフルランはセボフルランよりも強い鎮痛作用を有しており、そのため、術中の追加鎮痛薬使用量の低減といった臨床上のメリットが示されています。これにより、麻酔薬の選択は単にMAC 値だけでなく、それぞれの薬剤の全体的な薬理プロファイルを考慮する必要があることが強調されます。
2. 等最小肺胞濃度でセボフルランとデスフルランの鎮痛作用を比較
3. デスフルランは、セボフルランよりも術中レミフェンタニル必要量を減少させる
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