小児の全身麻酔後の側臥位と仰臥位における気管抜管の質を比較する無作為化比較試験

昏睡胎位.png・小児の全身麻酔後の抜管は重要なイベントであるが、抜管時の患者の体位に関する研究は少ない。臨床データから、側臥位では気道閉塞が少なく、気道開存性が高いことが明らかにされている。著者らは、全身麻酔下で待機的手術を受ける小児において、仰臥位と側臥位とが、修正ミノーグ咳嗽スコアによって判定される気管抜管の質に及ぼす影響を検討した。副次的目的は、酸素飽和度(SPO2<92%)、喉頭痙攣、気管支痙攣、喘鳴の発生頻度であった。

・この単盲検無作為化試験では、年齢 2〜12 歳の 110 人の小児が登録され、手術終了時の抜管時に側臥位(L 群)または仰臥位(S 群)のいずれかの体位とした。全患者は標準化麻酔レジメンを受けた。抜管時に気道開存性の低下が認められた場合は、顎先挙上と陽圧換気が行われた。抜管後 30 分まで、バイタルパラメータ、抜管の質、鎮静スコア、酸素飽和度、喉頭痙攣、喘鳴、気管支痙攣の発生率を5分ごとに記録した。

S 群の小児は L 群の小児と比較して、抜管 15 分後の咳嗽スコアが高く、P値=0.04 であった。

抜管時に小児を側臥位にすることで、仰臥位での抜管と比較して咳嗽スコアが低く、合併症の発生率が低いことから明らかなように、抜管の質が改善した。

意識障害患者に「昏睡胎位(シムズ体位)」と呼ばれる体位を取らせる。この姿勢だと口腔内の唾液や嘔吐物が口から排出され,窒息や誤嚥を防ぐことができる。また,舌根沈下による気道閉塞も予防することができる。

memo

修正ミノーグ咳嗽スコア(Modified Minogue Cough Score)

スコア定義
1咳が全く認められない
2軽度の咳:1~2回程度の軽い咳
3中等度の咳:3~4回、または一過性の中等な咳
4重度の咳:5回以上、または持続的で激しい咳

対訳テキスト:20250304-2.pdf

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