Q:消化管の内視鏡検査・処置に際しての鎮静薬としては、プロポフォール単剤で十分なのか?
A:低侵襲な消化管内視鏡検査・処置における鎮静薬の選択について、プロポフォール単剤投与とフェンタニル併用投与を比較した 2 つの研究を紹介します。
・この研究では、プロポフォール単剤投与群とプロポフォール+フェンタニル併用投与群の患者を比較しました。
・結果として、両群間で鎮静効果に差は見られなかったものの、フェンタニル併用群では、術後の回復遅延や呼吸抑制などの合併症リスクが有意に高いことが示されました。
・この研究は、プロポフォール単剤投与が、合併症リスクを低減し、より迅速な回復を促進する可能性を示唆しています。
・この研究では、プロポフォール単剤投与群とプロポフォール+フェンタニル併用投与群の患者を比較しました。
・結果として、フェンタニル併用群では、鎮痛効果の向上は認められたものの、PACU 滞在時間が延長し、医療コストが増加することが示されました。
・この研究は、フェンタニル併用による鎮痛効果のメリットは、回復遅延やコスト増加のデメリットを上回らない可能性を示唆しています。
結論
これらの研究結果から、低侵襲な消化管内視鏡検査・処置における鎮静には、プロポフォール単剤投与で十分な鎮静効果が得られ、フェンタニルを併用するメリットは少ないと考えられます。フェンタニル併用は、鎮痛効果を高める可能性があるものの、回復遅延や合併症リスク増加、医療コスト増加などのデメリットを伴う可能性があります。<関連記事> 1. プロポフォール単剤 vs プロポフォール併用レジメン:病院ベースの内視鏡検査室における回復指標と合併症発生率の後ろ向きコホート研究
2. 内視鏡手術における術中フェンタニルと PACU 時間およびコストへの影響
Xie G, et al. Single-agent versus combination regimens containing propofol: a retrospective cohort study of recovery metrics and complication rates in a hospital-based endoscopy suite. Braz J Anesthesiol. 2025 Mar-Apr;75(2):844602.
Xie G ら(2025 年)は、後ろ向きコホート研究で、病院ベースの内視鏡室における回復指標と合併症発生率を調査しました。・この研究では、プロポフォール単剤投与群とプロポフォール+フェンタニル併用投与群の患者を比較しました。
・結果として、両群間で鎮静効果に差は見られなかったものの、フェンタニル併用群では、術後の回復遅延や呼吸抑制などの合併症リスクが有意に高いことが示されました。
・この研究は、プロポフォール単剤投与が、合併症リスクを低減し、より迅速な回復を促進する可能性を示唆しています。
Akabane M, et al. Intraoperative fentanyl in endoscopic procedures and their impact on PACU time and costs. Perioper Med (Lond). 2025 Mar 20;14(1):33.
Akabane M ら(2025 年)は、内視鏡処置における術中フェンタニルの影響を、術後回復室(PACU)滞在時間とコストの観点から調査しました。・この研究では、プロポフォール単剤投与群とプロポフォール+フェンタニル併用投与群の患者を比較しました。
・結果として、フェンタニル併用群では、鎮痛効果の向上は認められたものの、PACU 滞在時間が延長し、医療コストが増加することが示されました。
・この研究は、フェンタニル併用による鎮痛効果のメリットは、回復遅延やコスト増加のデメリットを上回らない可能性を示唆しています。
結論
これらの研究結果から、低侵襲な消化管内視鏡検査・処置における鎮静には、プロポフォール単剤投与で十分な鎮静効果が得られ、フェンタニルを併用するメリットは少ないと考えられます。フェンタニル併用は、鎮痛効果を高める可能性があるものの、回復遅延や合併症リスク増加、医療コスト増加などのデメリットを伴う可能性があります。
2. 内視鏡手術における術中フェンタニルと PACU 時間およびコストへの影響
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