軽度または中等度の上気道感染症を有する小児における気道器具の選択:無作為化比較試験

風邪をひいた小児.png・上気道感染症(URTI)を有する小児への麻酔実施は、周術期呼吸器有害事象(PRAE)のリスクを増加させる。いくつかの観察研究では、声門上器具(SGA)が小児の気道管理の代替となりうる可能性が示唆されている。本無作為化比較試験では、軽度または中等度の URTI を有する小児において、気管チューブ(ETT)の代わりに SGA を使用することが PRAE の発生率に影響するかどうかを評価する。

SGA または ETT の挿入留置を受けた軽度または中等度の URTI を有する小児患者 78 人を対象とした。咳嗽、喉頭痙攣、気管支痙攣、息止め、術後の喘鳴、酸素飽和度低下度(90% 未満)などの有害事象について、麻酔導入、チューブ留置、手術、チューブ抜去、麻酔後のケアの各段階で患者をモニターした。

・周術期を通じて、56.4%(44/78 例)の小児が PRAE をきたした。その発生率は、ETT 管理群で 77.5%(31/40)、SGA 管理群で3 4.1%(13/38)であった。SGA を受けた小児における PRAE の相対リスク(RR)は、ETT を受けた小児と比較して 0.417(95%CI:0.248-0.701)であった(p<0.001)。特に、軽度の PRAE の発生率は、ETT 群(67.5%、27/40 人)に比べ、SGA群(28.9%、11/38 人)で有意に低かった(RR:0.429、95%CI:0.249-0.738、p<0.001)。周術期の咳嗽(p=0.043)と酸素飽和度低下(p=0.031)の発生率には群間で有意差があった。

SGA の使用により、咳嗽、気管支痙攣および酸素飽和度の発生率が減少し、軽度または中等度の URTI を有する小児において ETT に代わる許容可能な選択肢となった。

軽度〜中等度の上気道感染症を有する小児では、気管チューブよりも声門上器具の方が周術期呼吸器有害事象が少ないと。COLDS スコアの「D 気道器具」では、なし/マスク=1 点、LMA/声門上器具=2 点、気管チューブ=5 点 という評点になる。

対訳テキスト:20250401-1.pdf

【COLDSスコア】COLDSスコア.png

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