成人における挿管デバイスとしての I-gel と Fastrach ラリンジアルマスクの臨床性能の比較:系統的レビューとメタ分析

・PubMed、EMBASE、Scopus、Cochrane の各データベースから、挿管中の成人患者を対象に I-gel と Fastrach SGD を比較した無作為化比較試験(RCT)を検索した。主要転帰は、気管挿管のファーストパス成功率とした。副次評価項目は、気管挿管時間、SGD 挿入時間と成功率、および合併症であった。二値エンドポイントの評価にはリスク比(RR)を、連続アウトカムの評価には加重平均差(WMD)を算出し、対応する 95% 信頼区間(CI)を主要評価項目およびそのサブ群解析(P<0.05を統計的に有意とみなした)に、また副次評価項目についてはボンフェローニ補正後の 99%CI(P<0.01 を統計的に有意とみなした)を算出した。
・本研究は、1340 人の患者を対象とした合計 14 件の RCT を対象とした。その結果、ファーストパス成功率において Fastrach に有利な有意差が示された(RR, 0.81;95% CI, 0.67-0.98;P=0.03;I2 = 91%)。サブ群解析では、I-gel を介してファイバースコープを使用した場合、実施者は Fastrach と比較して、より良好な気管挿管ファーストパス成功率を達成した(RR、1.05;95%CI、1.01-1.11;P=0.03;I2 = 0%)。全体的な挿管成功率(RR、0.92;99%CI、0.82〜1.04;P=0.08、I2 = 92%)および時間(WMD -1.03 秒;99%CI、-4.75〜2.69;P=0.48、I2=84%)は、使用した器具にかかわらず有意差は認められなかった。実施者による器具挿入時間に関しても有意差はなかった(WMD -6.48 秒;99%CI、-13.23〜0.27;P=0.01;I2=98%)。SGD の初回挿入の成功率と、咽頭痛(RR、1.01;99%CI、0.65〜1.57;P=0.95、I2=33%)および SGD 抜去後の血液汚染(RR、0.89;99%CI、0.42〜1.86;P=0.68、I2=0%)などの合併症には、有意差は認められなかった。
・今回の所見によると、I-gel と比較して Fastrach の使用により高いファーストパス成功率が観察された。しかし、I-gel の使用は、ファイバースコープガイド下挿管ではより良好な挿管成功率をもたらすかもしれない。全体的な挿管成功率、器具挿入に要した時間、挿管に要した時間、合併症などの点では、使用した器具にかかわらず、性能に有意差は認められなかった。
ひこ
i-gel の挿管用 SGA としての機能は、 Fastrach には及ばないようだ。
【出典】
Comparison of Clinical Performance of I-gel and Fastrach Laryngeal Mask Airway as an Intubating Device in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis
Anesth Analg. 2025 Feb 1;140(2):243-251.
Comparison of Clinical Performance of I-gel and Fastrach Laryngeal Mask Airway as an Intubating Device in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis
Anesth Analg. 2025 Feb 1;140(2):243-251.
対訳テキスト:20250401-3.pdf
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