高齢者患者における周術期有害事象:3つの術前スコアの予測能力の比較

スコアリングシステム5.png・世界的に高齢者患者の手術件数が増加している。本研究では、三次医療施設である教育病院で手術を受けた高齢者患者において、3 つの術前スコアリングシステムが周術期アウトカムを予測する能力を比較することを目的とした。

・65 歳以上の高齢者患者を対象に、さまざまな手術を受けた患者のカルテを後ろ向きにレビューした。全患者に ASA-PS 分類、改訂リー心臓リスク指数、および汎用スコア(新たに作成)を付与した。人口統計データと臨床データ(術前臨床パラメーター、手術の種類、麻酔の種類と持続時間、手術専門分野、出血量、術中・術後合併症、入院期間、術後合併症、生存率)が記録された。3つのスコアは、周術期合併症の予測能力について比較された。

・54 名の患者が研究対象に含められた。年齢は 65 歳から 87 歳(平均 73. 5歳、標準偏差 5.8)の範囲であった。女性の患者が過半数(64.8%)を占めた。患者は一般外科、泌尿器科、胸部外科に所属していた。約 7.4% の患者が ICU 入室を要する術後合併症を発症した。高齢者層において、年齢は周術期合併症に影響を与える有意な要因ではなかった。手術時間、麻酔時間、入院期間は、周術期有害事象をきたした患者で有意に長かった。周術期有害事象の予測における判別能について、Lee 心臓リスク指数(Lee Cardiac Index)の ROC 曲線下面積(AUC)は 0.85、汎用スコア(Generic Score)は 0.67、ASA-PS 分類は 0.62 であった。

・サンプルサイズの制限はあるものの、研究対象の患者において、改訂リー心臓リスク指数は、高齢者患者において ASA-PS 分類と比較して、術中・術後早期の有害事象を予測する能力が優れていた。
RCRI スコア(ざっくり6項目)
項目点数
高リスク手術1点
虚血性心疾患の既往1点
心不全の既往1点
脳血管障害の既往1点
インスリン使用中の糖尿病1点
血清Cr > 2.0 mg/dL1点

Lee 分類と主な心臓合併症のリスク
点数分類リスク (%)
00.4
10.9
26.6
≧311

Revised Cardiac Risk Index(RCRI) は、術後合併症リスクの識別能力が高いそうなので、麻酔科の術前評価の一環に加えてもよさそうだな。

対訳テキスト:20250730-2.pdf

この記事へのコメント