【文献抄訳】SGAの挿入:ブラインドか、それとも直視下か?口咽頭リーク圧への影響
通常、SGAは指や導入器を用いた「ブラインド(盲目的)」な挿入が行われますが、近年はビデオ喉頭鏡などを用いた「直視下」での挿入も行われています。果たして、挿入方法の違いが口咽頭リーク圧(OPLP)にどう影響するのか、興味深いデータが出ています。
背景
SGAのシール性能を客観的に示す指標が口咽頭リーク圧(OPLP)です。直視下での挿入は、解剖学的な位置関係を適正化すると言われていますが、それが実際にリーク圧の向上に寄与するかどうかは、これまで結論が出ていませんでした。論文の概要
- タイトル: Comparison of oropharyngeal leak pressures between blind versus under-vision insertion of supraglottic airways in adults undergoing surgery under general anesthesia: a systematic review and meta-analysis
- 出典: Minerva Anestesiol. 2026 Jan 14. doi: 10.23736/S0375-9393.25.19392-9.
- 対象: 全身麻酔を受ける成人患者を対象としたRCT 10件(計1,089例)
主な結果
1. 口咽頭漏出圧(OPLP)
直視下での挿入は、ブラインド挿入と比較して有意に高いOPLPを示しました。- 直視下:27.88 cmH₂O
- ブラインド:24.7 cmH₂O (平均差:3.18 cmH₂O, P <0.00001)
2. 二次評価項目
- 解剖学的位置: ファイバースコープによる評価で、直視下群の方が良好な配置でした。
- 換気条件: 直視下群の方が最高気道圧(PIP)が低く、胃管挿入の容易さも向上していました。
- デメリット: 直視下挿入は、デバイスの設置により長い時間を要しました。
- 差がなかった項目: 初回挿入成功率、術後合併症。
結論
成人の全身麻酔において、SGAを直視下に挿入することは、ブラインド挿入よりも高いリーク圧と良好な解剖学的配置をもたらします。ただし、これによる臨床的なベネフィット(アウトカムの改善)がどこまであるかについては、さらなる検討が必要です。考察と感想
わずか3 cmH₂O程度の差ではありますが、統計学的には明らかな有意差をもって直視下挿入が優位という結果でした。特に、解剖学的に適切な位置に置けることでPIPが下がり、胃管が通りやすくなるというのは、臨床医としては納得の結果です。一方で、SGAの利点は「迅速かつ簡便」であることですので、常に喉頭鏡を準備して直視下を狙うべきかというと、症例ごとの判断になりそうです。

この記事へのコメント