【アンケート結果】小児の気管チューブサイズ選択:年齢公式 vs 身長(モーガン)公式〜 5 歳 2 か月・身長 115cm の症例から考える〜

はじめに

先日、X(旧 Twitter)にて小児の気管チューブ(カフなし)選択に関するアンケートを実施いたしました。ご回答・拡散いただいた皆様、誠にありがとうございました。計 172 名の先生方から貴重なご意見をいただくことができました。
今回は、このアンケート結果の分析と、小児のチューブサイズ決定における臨床的な考察をまとめてみたいと思います。

アンケート概要と結果

【麻酔科医アンケート】小児の気管チューブサイズの選択.png
【対象症例】
  • 年齢:5 歳 2 か月
  • 性別:男児
  • 身長:115cm
  • 条件:カフなし気管チューブ(ID)を通常最初に選択する場合のサイズ
【アンケート最終結果(総投票数:172 票)】
選択肢割合得票数(推計)
5.0 mm61.6%約 106 票
5.5 mm27.3%約 47 票
その他(年齢・身長以外で決める)11.0%約 19 票


結果の分析と考察


1. 約 6 割の麻酔科医が「5.0 mm」を選択(年齢ベースの判断)

最も多かった回答は 5.0 mm(61.6%) でした。 一般的によく用いられるカフなしチューブの年齢公式:
【チューブサイズ(ID) = 4+年齢 ÷ 4】
に「5歳」を代入すると、
4+5÷4 = 5.25 mm となり、伝統的な年齢公式をストレートに適用すると 5.0 mm が第一選択となります。多くの麻酔科医が日常臨床において、まずは「実年齢」をベースに判断している実態が浮き彫りとなりました。

2. 身長・体格を考慮した「5.5 mm」選択(27.3%)

一方で、5.5 mm を選択された先生も約 3 割いらっしゃいました。 今回の症例のポイントは、「5 歳 2 か月に対して身長 115cm」という体格です。
  • 体格からの標準年齢換算: 小児の標準身長公式 身長(cm) = 70 + 7 × 年齢 で逆算すると、115cm は 6 歳相当70 + 7 × 6 = 112cm)の体格です。6 歳として年齢公式に当てはめると 4 + 6/4 = 5.5 mm となります。
  • モーガン公式(Morgan’s formula)による算定: 挿入の深さの推定式「深さ(cm)=身長÷10+5」(モーガン公式)と、チューブサイズと深さに関する一般化公式「深さ ÷ 3 = チューブ ID」という式を用いると、
深さ=115÷10+5 = 16.5 cm
16.5÷3=5.5 mm
となり、明確に 5.5 mm が導き出されます。

3. 「その他(11.0%)」の臨床的視点

「年齢・身長以外で決める」と答えた 11% の中には、超音波(エコー)による声門下径の事前計測や、過去の麻酔歴・レントゲン写真、あるいはカフ付きチューブの積極的使用(※カフ付きの場合は 0.5mm サイズダウン)といった柔軟なアプローチが含まれていると考えられます。

まとめ:チューブ交換頻度を減らすために

今回のアンケートから、「年齢公式による 5.0mm 選択」が多数派であるものの、身長 115cm という体格に着目すると「5.5mm」が解剖学的により適合する可能性が高いという示唆が得られました。
実年齢と体格(身長・体重)に解離がある小児の場合、単純な年齢公式だけに頼ると、サイズが小さすぎてリークが過大になり、結果的にチューブの入れ替え(サイズアップ)が必要になるリスクが高まります。
モーガン公式のように身長をパラメーターに組み込んだ算定法を活用することで、初回挿管でのサイズ不適合を減らし、よりスムーズで安全な気道管理につながるのではないでしょうか。
改めまして、アンケートにご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。小児麻酔における気管チューブサイズ選択の工夫や、日頃意識されているポイントなどがございましたら、ぜひコメント欄や X にてご意見をお寄せください!

この記事へのコメント